シーン別の着物や帯の種類について解説していくシリーズの第2回目です。
前回はフォーマル着物の中で特に格の高い「礼装」と呼ばれる装いをピックアップしてご紹介しました。
▼フォーマル着物の中の『黒留袖』『色留袖』『振袖』『黒喪服』についてはこちらの記事をご覧下さい!
今回はフォーマル着物のランクの中で「礼装」に次ぐ「準礼装」と「略礼装」を解説!
「フォーマル」な装いと「セミフォーマル」な装いを比較しながらご紹介します。
※ ここで紹介するルールは一般的にいわれているものです。地域などによって異なる場合もございますのでご了承ください。
目次
着物の「フォーマル」「セミフォーマル」とは?
前回も記述した通り、「フォーマル着物」とは儀式や式典などの場にふさわし装いのこと。
しかし、一言で式典といっても、かしこまったものやそれほど気負わないものなど様々です。
種類によって格式の高さが異なるので場面に沿った着物選びが必要となります。
「フォーマル着物」は合せる帯や小物によっても装いの格が変わる為、かしこまり過ぎないコーディネートを「セミフォーマル」と呼びます。
ここからは、どちらの装いにも注目しながら着物の種類をご紹介していきたいと思います。
◆ 「準礼装 」… 訪問着・色無地
「準礼装」は「礼装」に準ずる改まった装いのこと。
結婚式やパーティーに参加する際などにピッタリです。
〇 訪問着
訪問着は既婚・未婚問わず着られ、留袖の次に格式高い着物です。
柄は裾以外にも袖や肩周りにもほどこされているのが特徴で、格調高い着物の中でも特に華やかさがあります。
また、留袖などと同じく縫い目をまたいでも模様が繋がる絵羽模様です。
紋については、入れることによって着物の格が上がる為改まった「式」がつくような場面に向いています。
しかし紋を入れることにより、シーンによっては仰々しくなり過ぎてしまうことも。
着用の場面が限られ使い勝手が悪くなってしまう為、紋を入れずに仕立てるのが主流です。
紋入りの場合は豪華絢爛な帯に礼装用の金銀や白の小物を合せとことん格の高い装いに。
紋が入っていない訪問着は着物とバランスが合うような華やかな帯を合せることでパーティーシーンなどにも着用できます。
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◎『訪問着』におすすめフォーマル帯
〇 色無地
色無地は無地や地紋入りの白生地を黒以外の色で一色に染めたもの。
紋を一つでも入れると紋が入っていない訪問着よりも格上の着物になり、入れる場合は一つ紋が主流です。
一つ紋の色無地には金銀糸の入った格式高い織りの帯を合せることでよりフォーマル度の高い着こなしに。
上品な織り名古屋帯などを合せるとパーティーシーンなどにおすすめなセミフォーマルな装いとなります。
紋を入れない場合はお出かけ着やお稽古着としてお召し頂けます。
また、訪問着よりも華美過ぎない装いはお子様が主役の入学式や卒業式にもピッタリです。
控えめながら格式高いということから侘び寂びの精神を重んじるお茶席の場面でも古くから愛用されています。
さらに、彩度が低く暗い色の地色の場合は帯や小物を喪服用にすることで弔事にも着用できます。
このように色無地は合わせる帯や小物によって幅広く着用出来る為、1枚持っておくと大変便利なお着物です。
◎ 色無地フォーマルコーデ
◎ 色無地セミフォーマルコーデ
◆ 「略礼装 」… 江戸小紋・付け下げ・小紋
「略式礼装」は格の高すぎない結婚式や披露宴・二次会などに向いた装いです。
〇 江戸小紋
江戸小紋は遠目に見ると無地のように見えますが、近くで見ると細かい柄の入った一色染の着物。
元々は武士の裃(※)に用いられていたものでしたが、段々と着物の柄として広まっていったそうです。
一見無地のように見えて実は柄があるとう粋さが町の人たちの心を掴んだのかもしれませんね。
また、江戸小紋の中でも「江戸小紋三役」と言われる「鮫(さめ)」「角通し(かくどおし)」「行儀(ぎょうぎ)」の柄は特に格が高いとされています。
この「江戸小紋三役」に紋を入れ、金銀糸を使った礼装用の帯を合せることで「準礼装」と同等の扱いに。
色無地と同様に品の良い名古屋帯などを合せた装いは重たすぎないセミフォーマル向けのコーディネートとなります。
紋を入れない場合や「江戸小紋三役」以外の柄をほどこしたものの場合は、品の良いお出かけ着などとしてカジュアルに寄った着方も出来ます。
また、柄が細かいほど貴重とされていて、「極鮫」や「極角通し」などと呼ばれていいます。
シンプルながら繊細な職人さんの技術を肌で感じることができるお着物です。
※ 裃(かみしも)とは…武士の正装として着用されていたもの。
〇 付け下げ(付け下げ訪問着)
付け下げは第二次世界大戦中に華美な訪問着が禁止されたことから、訪問着を簡略化した代替品として誕生しました。
柄はすべて上向きになっているのが特徴で、訪問着のように絵羽模様ではない為、縫い目で柄が繋がらない仕立てになります。
付け下げの中でも訪問着のような華やかさを出す為、縫い目で柄が途切れないよう染めたものは「付け下げ訪問着」と呼ばれています。
紋は入れないのが主流ですが、入れる場合は一つ紋を入れます。
訪問着の代わりとして生まれた付け下げは、帯や小物を礼装用のものを使うことでフォーマルな装いに。
訪問着よりも控えめですが色無地よりは華やかなので上品な印象のコーディネートに仕上がります。
色無地や江戸小紋同様、付け下げも礼装用以外の品の良い帯を合せることでセミフォーマルな着こなしとなります。
かしこまりすぎないので、お友達とのパーティーなどにドレス感覚でお召しになってみてはいかがでしょうか。
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◎『付け下げ』におすすめセミフォーマル帯
〇 小紋
小紋は型染によって模様を繰り返し染めたもの。
洋服でいうと総柄のワンピースのような感覚のお着物です。
品の良い色柄であれば格調高い織りや染めの名古屋帯を合せることで頑張りすぎないセミフォーマルな着こなしに。
この時、吉祥文様の小紋柄だとよりフォーマル度が高い装いになります。
上品なしゃれっ気のある帯を合せるとドレス感覚で着ることが出来、披露宴の二次会やかしこまり過ぎないパーティーシーンにもおすすめです。
遊び心あふれるかわいらしい柄には帯もカジュアルにまとめてお出かけ着にも。
柄や色によって印象が大きく変わるお着物です。
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◎『小紋』におすすめセミフォーマル帯
フォーマル・セミフォーマルの着物一覧
フォーマル・セミフォーマルの着物の種類をご紹介してきましたが『紋が入ると格が上がる』『江戸小紋三役は格が高い』など、「結局何がどれ…?」と混乱してまう方も多いはず…!
そこでフォーマル着物・セミフォーマル着物をカテゴライズして並べてみました。
※ 着物のカテゴリ分けの一例としてわかりやすいように図解したものです。
とにかく紋の入ったお着物は格が高いというのがよくわかりますね。
改まった装いをする場合は、TPOに合わせて着物のランクを決めることで自然で品のある装となります!
しかし、お着物の選び方の正解・不正解は個々のシーンや地域の風習にもよる為、なんとも申し上げにくいというのも現実。
ぶっちゃけ、よほどかしこまった場面でない限りあまり細かいことは気にせずご自身が素敵だなと思うコーディネートをお召し頂くのが1番!というのが桝屋髙尾的意見です。
だからこそ基本を知ることで柔軟な選択が出来るようになり、着物選びも楽しくなるはずです!
ぜひお着物選びの参考にしてみてくださいね。
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とはいえ、着物のコーディネートに不安は付き物ですよね。
京都西陣の織屋である桝屋髙尾が運営する「金閣寺サロン」ではお着物のコーディネートのご相談をお受けしています!
当主である朱子をはじめ、長年呉服業界に携わっているスタッフが丁寧にお話をお伺いします。
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