私は高校2年生の時に父親を亡くし、長男として母と弟妹を支えていくこととなった私の人生は、決して平坦な道のりではありませんでした。
しかし、今になって振り返ってみると幸せな人生を送ってこれたと思っています。
それは人生を通して、一筋に美を創造し続けることで、自分の考える美しさは錆びないものだと見出し、一身に自分が思うままに美を織物に創造することができたからです。
そして、私が自らの理想とするものを形づくり、己の道を邁進できてこれたのは、周囲の皆様の助けがあったからです。
あげればキリがない素晴らしい先生や先輩方、それら作品や人柄などから多くの影響を受けることができたお陰で、今日の桝屋髙尾がございます。
1960年に桝屋髙尾を創業して以来、私は西陣の伝統の技を継承し研鑽する一方、独自の技術で作品を生み出してきました。これからも「時に耐える美しい織物」を手がけていきたいと思います。そして桝屋髙尾の着物や帯で心華やぐお客様が一人でも増えることを願ってやみません。
代表取締役会長 / 髙尾 弘